タートルロックの小言-その11

お客様の中にはとてもせっかちな方がいらっしゃいます。
トイレに行きたい! 家の中に愛犬・愛猫などのペットがいて、早く家に入りたい! などなど。
理由はさまざまですが、とにかく急がせるお客様がいます。

今日、金庫開錠に行った時の話です。
金庫はいくつかタイプがあります。
● 鍵が一箇所だけ。
● 鍵が二箇所だけ。
● 鍵が一箇所とダイヤル錠(一般家庭で主に使用される金庫はだいたい、固定ダイヤル錠です。)
● 鍵が一箇所と暗証番号(テンキーと呼ばれています)
などなど、、、

今日のは、上から3つ目の ” 鍵が一箇所とダイヤル錠 ” でした。
” いつも鍵だけで開いているのになぜか開かなくなった ” とのお話でした。
お客様曰く、” ダイヤルは動かないようにテープで固定しているから、鍵が壊れているのかも??? ” と。。。
固定ダイヤル錠の場合、いくらダイヤルを固定しても、振動(金庫を動かしたり・大きな地震だったり)などで内部の部品は勝手に動いてしまうんです。 そうすると今回みたいに開かなくなることがあります。
そして、多くの方が、一回ダイヤルを揃えておけば、もう大丈夫!と思ってしまい、金庫購入時に金庫とセットになっている番号の書いてある紙を金庫の中にしまってしまうのです。

で、ここからが今回の本題!!!
鍵は問題ないと判断し、ダイヤルの開錠作業を始めてわずか1分後、お客様から衝撃の言葉が、、、
” まだ、開かないの? ” と。。。
1分で開けることができるのはテレビドラマやアニメの世界です。
実際はそんなことありません!!!
だいたい、金庫の良いところは、
1)頑丈で壊すのが大変、
2)持って逃げるには重すぎる、
3)開けようとしても鍵とダイヤルを攻略しないといけないので時間がかかる、 などです。
今回は鍵はあるのでダイヤルだけですが、いくら熟練されたタートルロックでも、流石に1分は難しいですね~。

金庫に限らず住宅も車も、鍵メーカーさん達は ” 開けられないように ” と思いながら鍵をデザインしたり研究したりしています。 我々鍵屋は鍵の開錠・作成・修理が主な仕事ですが、メーカーさん達が時間・お金・人材を投資して作った鍵が、そんなすぐ開いちゃったら、大変な話です。

今回のお客様がせっかちの部類に入るかは分かりませんが(もしかしたら、無神経かただの天然)、少し気分の悪い仕事でした。

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